2019年12月3日
在留資格「経営・管理」について3
本日も在留資格「経営・管理」についての説明をさせていただきます。
3 基準
(1)第1号
事業を営むための事業所が日本に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が日本に確保されていること。
要件の内容
第1号は外国人が経営し又は管理に従事する事業が日本に事業所を有して営まれるものであることを要件としており、次の両方を満たしていることが必要である。
ア 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区面を占めて行われていること
イ 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的にに行われていること
(注)上記の二つの要件は、総務省が定める日本標準産業分類一般原則2項における事業所の定義に基づくものである。
(2)第2号
申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する二人以上の常勤職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
(ア )要件の内容
第2号は、外国人が経営又は管理に従事する事業の「規模」について定めたものであり、イからハまでのいずれかに該当する必要がある。
(ア)第2号イは、経営又は管理に従事する外国人以外に日本に居住する常勤の職員が2人以上勤務する事業であることを要件とするものである。ただし、法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する常勤の職員は除かれる。
(イ)第2号ロは、事業が会社形態で営まれる場合を前提とする規定であり、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社又は合同会社の出資の総額が500万円以上の事業であることを要件とするものである。
(ウ)第2号ハは、イ及び口のいずれにも該当しない場合に、イ又はロに準ずる規模であることを要件とするものである。
第2号ハは、イ及びロに該当しない場合であっても、イ又はロに準ずる規模であるときは規模に係る基準を満たすこととするものである。
「準ずる規模」であるためには、営まれる事業の規模が実質的にイ又はロと同視できるような規模でなければならない。イに準ずる規模とは、例えば、常勤職員が1人しか従事していないような場合に、もう1人を従事させるのに要する費用を投下して営まれているような事業の規模がこれに当たる。この場合の当該費用としては、概ね250万円程度が必要と考えられる。また、ロに準ずる規模とは、例えば、外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合に、500万円以上を投資して営まれているような事業の規模がこれに当たる。この場合の500万円の投資とは、当該事業を営むのに必要なものとして投下されている総額であり、次の①から③の目的で行われるものがこれに当たる。
また、引き続き行われている事業の場合は500万円以上の投資が継続して行われていることが必要であり、これが確認される場合に、第2号ハに適合するものとして取り扱う。
① 事業所の確保:当該事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費
② 雇用する職員の給与等:役員戦酬及び常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費
③ その他:事業所に備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費
なお、一般的には、会社の事業資金であっても会社の借金は直ちには投資された金額とはなり得ないが、その外国人が当該借入金について個人補償をしている等の特別の事情があれば本人の投資額と見る余地もある。
以上、在留資格「経営・管理」についての説明をさせていただきました。
続きは明日以降にさせていただきます。
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2019年12月2日
在留資格「経営・管理」について2
(3)留意事項
「経営・管理」の活動の該当性について、次の点に留意する。
ア 事業の経営又は管理に実質的に従事するものであること
(ア)事業の経営に従事する活動には、事業の運営に関する、重要事項の決定、業務の執行、監査の業務等に従事する代表取締役、取締役、監査役等の役員としての活動が該当し、事業の管理に従事する活動には、事業の管理の業務に従事する部長、工場長、支店長等の管理者としての活動が該当する。
申請人は、これらの経営や管理の業務に実質的に参画し、又は従事するものでなければならず、実際に行う業務の内容を確認して判断する。
(イ)特に、申請人が新たに事業を開始しようとする場合について、申請時において、申請人は上記の業務には未だ参画等していないため、開始するとする事業の内容の具体性や、申請人が取得した株式や事業に投下している資金の出所等の事業の開始に至る経緯全般から、申請人が単に名ばかりの経営者ではなく、実質的に当該事業の経営を行う者であるかどうかを判断する。
また、既に営まれている事業に経営者や管理者として招へいされるような場合も同様であり、それが比較的小規模の事業であり申請人の他に事業の経営や管理に従事する者がいるときは、投資の割合や業務内容をそれらの者と比較することも必要である。
イ 事業の継続性があること
決定する在留期間の途中で事業が立ち行かなくなる等在留活動が途切れることが想定されるような場合は、「経営・管理」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められない。この観点から、外国人が経営又は管理に従事する事業が安定して営まれるものと客観的に認められることが必要である。
(4)他の在留資格との関係
ア 「技術・人文知識・国際業務」
企業の経営活動や管理活動は、自然科学若しくは人文科学の知職等を要する業務に従事する活動であることもあり、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に定める活動と一部重複する。このように重複する場合は「経営・管理」の在留資格を決定する。
また、申請人の業務内容に企業の経営活動や管理活動が含まれているが、「経営・管理」の活動に該当しない場合は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への該当性に留意する。
なお、企業の職員として「技術・人文知識・国際業務」の在留質格で在留していた外国人が、昇進等により当該企業の経営者や管理者となったときは、直ちに「経営・管理」の在留資格に変更することまでは要しないこととし、現に有する「技術・人文知識・国際菜務」の在留資格の在留期限の満了に併せて「経営・管理」の在留資格を決定しても差し支えない。
イ 「法律・会計業務」
企業に雇用される弁護土、公認会計士等専門知識をもって経営または管理に従事する者の活動も、「経営・管理」の在留資格に該当するが、弁護土、外国法事務弁護土、公認会計土、外国公認会計士等の資格を有しなければ行うことができないとされている事業の経営又は管理に従事する活動は、「法律・会計業務」の在留資格に該当する。
ただし、病院の経営に係る活動は、医師の資格を有する者が行う場合であっても、「医療」ではなく、「経営・管理」の活動に該当する。
ウ 「短期滞在」
日本法人の経営者に就任し、かつ日本法人から報酬が支払われる場合、その者が当該事業の経営等に関する会議、連絡業務等で短期間来日する場合であっても「経営・管理」の在留資格に該当する。
なお、当該日本法人の経営者に就任していない場合や、就任していたとしても日本法人から報酬が支払われない場合には、「短期滞在」の在留資格で入国し、当該会議などに参加することとなる。
以上、在留資格「経営・管理」について説明させていただきました。
続きは明日以降にさせていただきます。
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2019年11月27日
在留資格「経営・管理」について1
本日より11回にわけて在留資格「経営・管理」について説明させていただきます。
かなり長くなりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
1 経営・管理の在留資格について
「経営・管理」の在留資格は、事業の経営・管理業務に外国人が従事することができるようにするために設けられたものです。
(注)「経営・管理」の在留資格は、平成26年の法改正により(旧)「投資・経営」の在留資格を改正して設けられた。
2 該当範囲
入管法では、日本において行うことができる活動を以下のとおり規定しています。
日本において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営若しくは管理に従事する活動を除く。)
(1)経営・管理の在留資格に該当する範囲
「経営・管理」に該当する活動の種類は次のとおりである。
ア 日本において事業の経営を開始しその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
イ 日本において既に営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
ウ 日本において事業の経営を行っている者(法人を含む。)に代わってその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
(2)用語の意義
ア 「日本において貿易その他の事業の経営を行い」とは、①日本において活動の基盤となる事務所等を開設し、貿易その他の事業の経営を開始して経営を行うこと、②日本において既に営まれている貿易その他の事業の経営に参画すること、③日本において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは日本におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わってその経営を行うことをいう。
イ 「当該事業の管理に従事する」とは、①日本において経営を開始してその経営を行っている事業又は経営に参画している事業の管理に従事すること、②日本において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは日本におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わって当該事業の管理に従事することをいう。
以上、在留資格「経営・管理」について説明しました。
続きは明日以降にご説明させていただきます。
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2019年11月26日
在留資格「報道」について3
本日は、在留資格「報道」についての最後の説明をさせていただきます。
5 在留期間
在留期間5年
次の①、②及び⑤のいずれにも該当し、かつ、③又は④のいずれかに該当するもの。
① 申請人が入管法上の届出義務(住居地の届出、住居地変更の届出等)を履行しているもの(上陸時の在留期間決定の際には適用しない。)
② 学齢期(義務教育の期間をいう。)の子を有する親にあっては、子が小学校又は中学校(いわゆるインターナショナルスクール等も含む。)に通学しているもの(上陸時の在留期間決定の際には適用しない。)
③ カテゴリー1(外務省報道官から外国記者登録証を発給された者を雇用する外国の報道機関に雇用される場合)に該当するもの
④ ③以外の場合は、「報道」の在留資格で3年の在留期間が決定されている者で、かつ、日本において引き続き5年以上「報道」の在留資格に該当する活動を行っているもの
⑤ 就労予定期間が3年を超えるもの
在留期間3年
次のいずれかに該当するもの。
① 次のいずれにも該当するもの
a 5年の在留期間の決定の項の①及び②のいずれにも該当し、かつ、③又は④のいずれかに該当するもの
b 就労予定期間が1年を超え3年以内であるもの
② 5年の在留期間を決定されていた者で、在留期間更新の際に次のいずれにも該当するもの
a 5年の在留期間の決定の項の①又は②のいずれかに該当せず、かつ、③又は④のいずれかに該当するもの
b 就労予定期間が1年を超えるもの
③ 5年、1年又は3月の項のいずれにも該当しないもの
在留期間1年
次のいずれかに該当するもの。
① 3年の在留期間を決定されていた者で、在留期間更新の際に5年の在留期間の項の①又は②のいずれかに該当しないもの
② 職務上の地位、活動実績、所属機関の活動実績等から、在留状況を1年に1度確認する必要があるもの
③ 就労予定期間が1年以下であるもの
④ ロシア人の常駐記者
(注)ロシアの常駐記者について、昭和36年の日ソ国交正常化交渉の際に、ソ連報道関係者は公務員又はそれに準する地位にある者であったこと等から「公用」の在留資格を決定していたが、旧ソ連邦の崩壊に伴い、ロシア人記者に対して一般旅券が発給されるなどの変更があったことから、「報道」の在留資格を決定する取扱いとしている。
在留期間3月
就労予定期間が3月以下であるもの
※1 申請人が納税を始めとする各種の公的義務を履行していない場合は、当該義務不履行の態様等を勘案し、在留の可否、許可する場合の在留期間を検討することとなる。
2 刑事処分を受けた者は、その犯罪及び刑事処分の内容等を勘案し、在留の可否、許可とする場合の在留期間を検討することとなる。
3 中長期在留者からの在留期間更新許可申請時においては、就労予定期間が残り3月未満の場合であっても、中長期在留者から除外されることのないよう、原則として「3月」ではなく「1年」を決定する。
以上、在留資格「報道」についての説明をさせていただきました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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2019年11月25日
在留資格「報道」について2
本日は、在留資格「報道」についての説明の続きをさせていただきます。
4 審査の留意事項
(1)「外国の報道機関」とは、外国に本社を置く新聞社、通信社、放送局、ニュース映画会社等報道を目的とする機関をいう。
(注)① 報道機関は民営・国(公)営を問わない。
② 中国の常駐記者についても、在留資格「報道」を付与している。ただし、かつて「公用」の在留資格を決定されている者にあっては、引き続き同在留資格(在留期間はduring mission)のまま在留している。
(2)「取材その他の報道上の活動」の「取材」は例示であり、社会の出来事を広く一般に知らせるために行う取材のほか、報道を行う上で必要となる撮影や編集、放送等一切の活動が含まれる。具体的には、新聞記者、雑誌記者、ルポライター、編集長、編集者、報道カメラマン、報道カメラマン助手、ラジオのアナウンサー、テレビのアナウンサー、等としての活動が該当する。ただし、これらの者の行う活動であっても、報道に係る活動ではないもの(例えば、テレビの芸能番組の製作に係る活動)は含まれない。
(3)「報道」の在留資格を決定するためには、申請人が日本で「報道」の在留資格に該当する活動を行い、当該活動によって安定的、継続的に日本に在留する上で必要かつ十分な収入を得られることが必要である。
(4)スポーツ選手等に同行し、短期間の取材等を行う活動は、「短期滞在」の在留資格に該当する。なお、査証免除取決めにより、かかる活動を行おうとする場合であっても、協定上査証免除の対象としていない国(アメリカ)の者の場合は、査証を必要とすることに留意する。
(5)外国の報道機関から派遣されること
テレビの番組制作等に係る活動については、「報道」ではなく、「興行」等他の在留資格に該当する場合がある。
(6)報道上の活動であっても、外国人が日本に本社のある報道機関との契約に基づいて行う活動は、「報道」の在留資格には該当しない。外国人の従事する活動が社会学、政治学、経済理論等人文科学の知識を必要とする業務に従事する活動として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する。
以上、在留資格「報道」について説明させていただきました。
明日以降、最後の説明をさせていただきます。
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2019年11月22日
在留資格「報道」について1
本日から3回に分けて在留資格「報道」についての説明をさせていただきます。
1 報道の在留資格について
「報道」の在留資格は、外国の報道機関から派遣される記者、カメラマン等を受け入れるために設けられたものです。
2 該当範囲
入管法では、日本において行うことができる活動を、外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動と規定しています。
具体的には、次に掲げる者が外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動が該当します。
(1)外国の報道機関に雇用されている者で、当該報道機関から報道上の活動を行うために日本に派遣されたもの
(2)特定の報道機関に属さず、フリーランサーとして活動する記者等で、外国の報道機関と契約を締結して当該報道機関のために報道上の活動を行うもの
3 審査のポイント
(1)在留資格の決定時
ア 申請書の入国目的欄又は希望する在留資格欄が「報道」であること及び申請書の勤務先欄、契約を締結している報道機関、職歴及び職務内容欄並びに立証資料により活動内容が「報道」の在留資格に該当するものであることを確認する。
イ 申請書の給与・報酬欄及び立証資料により、その報酬が申請人が日本で就労を予定する期間において、「報道」の在留資格をもって活動するのに十分な額であることを確認する。
(注)申請人の所属する機関が存在しない場合は、「所属機関等作成用」は、申請人が作成するものとする(在留期間の更新時において同じ。)。
(2)在留期間の更新時
ア 申請書の勤務先及び職務内容欄並びに立証資料により、活動内容が引き続き「報道」の在留資格に該当するものであることを確認する。
イ 申請書の給与・報酬欄並びに住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書により、その報酬が申請人が日本で就労を予定する期間において、「報道」の在留資格をもって活動するに十分な額であることを確認する。
以上、在留資格「報道」について説明しました。
続きは明日以降に説明させていただきます。
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