2019年5月15日
ここでは、「本邦の公私の機関との契約」について説明していきます。
在留資格該当性とは
2019年5月現在、日本では、外国人に対して29の在留資格を認めています。
在留資格を取得するための申請をする外国人は、この29の在留資格に定められている「活動」もしくは「身分又は地位」にあてはまるかどうかを「在留資格該当性」として審査されます。
「就労ビザ」について
日本には、包括的な「就労ビザ」という形の在留資格はありません。
日本で働くための在留資格は、「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「高度専門職」、「研究」、「介護」などいくつかありますが、これらの在留資格に関する「在留資格該当性」として、いくつかの条件があります。
その条件の中の大きな一つが「本邦の公私の機関との契約」、つまり①本邦(=日本)で働く機関が決まっていること。そして②その機関と契約していることです。
「本邦の公私の機関」とは?
国、地方公共団体、独立行政法人、会社、公益法人等の法人のほか、任意団体(ただし、契約当事者としての権利能力はない。)が該当します。
また、 本邦に事務所、事業所等を有する外国の国、地方公共団体(地方政府を含む。)外国の法人等、更に、個人であっても本邦で事務所、事業所等を有する場合も含まれます。
「本邦の公私の機関との契約」とは?
「契約」には、雇用のほか、委任、委託、嘱託等が含まれます。
ですが、特定の機関(複数でも可)との継続的なものである必要があります。
特定の機関との継続的契約でない場合は、個人事業主として「経営・管理」に該当する場合があります。
また、「契約」の当事者となることができるのは、自然人や法人格を有する団体に限られています。
例えば、形式上は株式会社の支店等の長が契約書に署名していたとしても、当該支店等の長が当該法人(株式会社)を代理(又は代表)している場合には、法人が契約の当事者であることに注意しなければなりません。
因みに、個人経営の場合には、当該経営者が契約当事者となります。
契約は、本邦において適法に行われるものでなければなりません。
また、在留活動が継続して行われることが見込まれることが条件となります。
「労働契約」について
労働契約の締結については、使用者は、労働者に対して賃金、労働時間、その他の労働条件を書面で明示しなければならないこととなっており、(労働基準法第15条第1項)、 労働契約には、雇用契約のほか、委任契約や請負も含まれます。
外国の公私の機関と本邦の公私の機関とが契約当事者となっている場合
労働契約書において外国の公私の機関と本邦の公私の機関とが外形上の契約当事者となっている場合であっても、以下の⑴から⑹の事項が確認されたときは、「外国人本人と本邦の公私の機関との間に労働契約が成立している」と認められ、「本邦の公私の機関との契約に基づいて活動を行う」という要件を満たすものとして扱われます。
(1) 我が国に入国する者として当該外国人が特定されていること。
(2) 当該外国人の使用者にあたる、本邦の公私の機関が特定されていること。
(3) 本邦の公私の機関が当該外国人と「労働契約を締結する」旨を明示されていること。
(4) 当該外国人の労働条件として、労働基準法施行規則第5条第1項第1号から4号に定める事項が明示されていること。
(5) 本邦の公私の機関が我が国の労働基準法を遵守する旨が明示されていること。
(6) 本邦の公私の機関が当該外国人に対し賃金を直接支払う旨が明示されていること。
以上が在留資格該当性の「本邦の公私の機関との契約」についての説明です。
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次回は、在留資格該当性の「報酬」について説明していきます。