2019年6月14日
「技能」の在留資格について
「技能」は、日本人では代替できない産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する人のための在留資格です。
該当範囲
入管法には、以下のように規定されています。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」
1 用語について
(1)「産業上の特殊な分野」とは
ア 外国に特有な産業分野
調理師、建築技術者、外国特融製品の製造・修理を行う人が該当します。
イ 日本の水準よりも外国の技能レベルが高い産業分野
宝石・貴金属・毛皮の加工を行う人、動物の調教師、スポーツ指導者、ワインの鑑定などを行う人が該当します。
ウ 日本では従事する技能者が少数しか存在しない産業分野
石油等の掘削・調査を行う人、航空機の操縦士が該当します。
(2)「熟練した技能を要する業務」とは
「個人が自己の経験の集積によって有することとなった熟練の域にある技能を必要とする業務」を意味します。この点で、特別な技能・判断等を必要としない機械的な作業である単純労働と区別されることになります。
2 基準
申請する人が、以下のいずれかに該当し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要です。
(1)調理師
料理の調理または食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、当該技能について10年以上の実務経験を有するもの
・中国料理、フランス料理、インド料理等の調理師や「点心」、パン、デザート等の食品を製造する調理師やパティシエ等が該当します。
・実務経験については、10年以上の経験が必要ですが、外国の教育機関において、当該料理の調理や食品の製造に係る科目を専攻して教育を受けた期間も含まれます。
・働く場所(レストランなど)の規模や、メニューなども審査の対象になります。屋台で働くとして申請しても不許可になることがあります。また、中華料理の調理師として10年以上の経験を持つ人が、メニューに中華料理が少ないレストランで働くとして申請しても不許可になる可能性が高いです。
(2)建築技術者
外国に特有の建築又は土木に係る技能について10年(当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては、5年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
・「外国に特有の建築又は土木に係る技能」とは、例えば、ゴシック、ロマネスク、バロック方式又は中国式、韓国式などの建築、土木に関する技能で、我が国にはない建築、土木に関する技能をいい、枠組壁工法や輸入石材による直接貼り付け工法なども含まれます。
(3)外国特有製品の製造・修理
外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
・「外国特有の製品」とは、ヨーロッパ特有のガラス製品、ペルシアじゅうたんなど、我が国にはない製品ことをいいます。
(4)宝石・貴金属・毛皮加工
宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
・宝石及び毛皮については、宝石や毛皮を用いて製品を作る過程のみならず、原石や動物から宝石や毛皮を作る過程も含みます。
(5)動物の調教師
動物の調教に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
(6)石油等の採掘・調査
石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について10 年以上の実務経験(外国の教育機関において石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
(7)航空機操縦士
航空機の操縦に係る技能について1,000時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り込んで操縦者としての業務に従事するもの
・機長又は副操縦士として業務に従事できる技能証明を所持する者であっても、1,000時間以上の飛行経歴を有しない者については在留資格「技能」には該当しないことになります。
・「操縦者として業務に従事する」とは、定期運送用操縦士又は事業用操縦士のいずれかの技能証明を有し、機長又は副操縦士として業務に従事するものをいいます。
・航空機関士としての業務は「技術・人文知識。国際業務」の在留資格に該当します。
(8)スポーツ指導者
スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む。)を有する者もしくはこれに準ずる者で、当該技能を要する業務に従事するもの又はスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事するもの
・「報酬を受けて当該スポーツに従事していた」とは、プロスポーツの競技団体に所属し、プロスポーツ選手として報酬(賞金を含む。)を受けていた者が該当します。
・「その他国際的な競技会」とは、アジア大会などの地域又は大陸規模の総合競技会、アジアカップサッカーなどの競技別の地域又は大陸規模の競技会は該当しますが、2国間又は特定国間の親善競技会等は含まれません。
・「技能」の在留資格に該当するのはアマチュアスポーツの指導者には限りませんが、野球、サッカーなどチームで必要とするプロスポーツの監督、コーチ等でチームと一体として出場しプロスポーツの選手に随伴して入国し在留する活動については「興行」の在留資格に該当します。
(9)ワイン鑑定等
ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という。)に係る技能について5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
ア ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者
イ 国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者
ウ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者
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