2019年9月30日
前回に引き続き、留学生をアルバイトで雇う際の注意点について説明します。
今回は、在留資格「留学」の問題点と注意点についての説明です。
2019年9月現在における在留資格「留学」の問題点と注意点
1 在留資格「留学」の「抜け穴」化
留学生の皆さんは、日本語や専門技術などを勉強して本国で役立てたいと考える人、将来的に日本で働きたいと考えている人など、様々です。
2019年に入り、留学生の過剰な受け入れを行ってきた学校が問題視されました。
学校が受け入れ可能な許容量を超えた数の留学生を入学させたことにより、留学生の在留状況の把握がずさんとなったことから、所在不明者が多数となってしまいました。
背景には、就労系在留資格の取得が困難であることから、就労目的で日本に来たい人の抜け穴的に在留資格「留学」の取得が行われてきたという事情があります。
2 就労制限と収入額
前回までの記事で説明したように、留学生の就労(アルバイト)には時間の制限があります。
制限された時間内の就労で稼ぐことができる給料は、年収200万円に届くことすらまれでしょう。学費や生活費を払ったうえで残る金額はあまり多くありません。
留学生の中には、本国において、ブローカーのような人に多額の借金をして在留資格「留学」を取得する手続をしてもらい、日本で働いて借金を返そうという人もいます。
そのような人たちにとっては、制限された時間内の就労で稼ぐことができる給料では少なすぎると感じるでしょう。
そこで、なんとかしてこの制限時間より長い時間働きたいと考えるのは必然です。
3 入管での審査を通るための情報共有
入管では、在留期間の更新申請の審査の際に、この時間制限を守っているかどうかを、課税・納税証明書や賃金台帳、給与明細などで確認されます。
制限時間を超えて働いているにもかかわらず入管の審査をパスする方法として、留学生たちの間で、課税・納税証明書に収入額が記載されない方法で就労することについての情報共有がなされているという話があります。
税金との紐づけを逃れるため、マイナンバーの提出を拒否したり、給料を振込ではなく手渡しでの支払いを希望したりといったことです。
4 法を犯さないために
マイナンバーを事業者に提出することは労働者の義務ではありません。
また、給料の支払方法も各事業者の自由です。
しかし、それらが就労時間をごまかすために収入を過少に見せる目的であるとすれば、在留資格の問題を超えて、税法等様々な法律の問題となってしまいます。
事業者の方は、留学生から、マイナンバーを提出しなくても働かせてほしい、給料は振り込みではなく手渡しでほしい、などを聞かれた場合には、それらが可能であったとしても、税務署等各所への給与の申告はしっかりと行うということを説明してください。
事業者の方、留学生、双方ともに法を犯すことになってしまいますので、十分に注意してください。
以上、留学生をアルバイトで雇う際の注意点について説明しました。
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