2019年5月17日
「経営・管理」、「興行」、「留学」、「研修」などの在留資格には、申請をする人が経営する予定の会社や、所属する予定の機関(会社・学校など)に、「常勤の職員」がいる必要がある場合があります。
一例として、「留学」の場合であれば、申請をする人が中学校や小学校に入学する予定の場合、その中学校や小学校には、「外国人生徒又は児童の生活の指導を担当する『常勤の職員』」がいる必要があります。
「常勤の職員」とは??
「常勤の職員」とは、常に勤務している職員ということですが、以下のような基準で判断されます。
①勤務が、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の勤務計画の下に毎日所定の時間中、常時その職務に従事しなければならないものであること。
②職務に応じた給与等が設定されていること。
③労働日数が週5日以上、かつ、年間 217 日以上であって、かつ、週労働時間が 30 時間以上であること。
④入社日を起算点として、6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した職員 に対し 10 日以上の年次有給休暇を与えられること。
⑤雇用保険の被保険者となっていること。
「常勤の職員」に当たらない場合
使用者と労働者との間で締結される契約の形態については、直接雇用のほかに「出向」、「派遣」及び「請負」の形態がありますが、「出向」のうちの「在籍出向」、 「派遣」と「請負」の形態で業務に従事している労働者は、業務に従事している事業所 の「常勤の職員」には当たりません。
以下で詳しく説明します。
「出向」について
「出向」とは、労働者が自己の使用者を離れて第三者の下で就労する労働形態をいいます。
「出向」には、労働契約上の契約当事者たる地位(従業員としての地位)を出向元会社に残す場合の「在籍出向」と、労働契約上の契約当事者たる地位(従業員としての地位) を出向先会社に移す場合の「移籍出向」があります。
労働者が出向する場合の元々雇用されている企業を「出向元」と呼び、出向により新たに勤務することとなる企業を「出向先」と呼びます。
「在籍出向」について
「在籍出向」の場合、出向労働者は、出向元と出向先、双方と労働契約関係を有するが、契約上の権利義務が重複するのではなく、単一である労働契約が内容的に二つに割れて、それぞれの契約に属していることになります。
労働契約内容の分担は、契約の内容により様々ではありますが、退職や解雇に関する事項 については、基本的には出向元が労働契約の当事者となります。
このため、出向先の下で働く出向元からの在籍出向の労働者を、出向先の「常勤の職員」とすることは不適切になります。
「移籍出向」について
「移籍出向」の場合、出向元との労働契約を解消して出向先との間に労働契約を成立させるもので、従業員としての地位が出向先に移転し、一般的に復帰は予定されていないことから、労働者の合意はあくまでも個別的な同意があって認められています。
労働者は、出向先との間に一般的、包括的な労働契約関係をもつこととなるため、 出向先の「常勤の職員」ということになります。
「派遣」について
派遣とは、派遣元の事業主が労働者との雇用契約を維持したままで派遣先の事業主の指揮命令下で労働させるもので、派遣先の事業主と労働者との間に雇用関係が存在しないものをいいます。
この場合、労働者は、出向先との間に一切の雇用関係がない為、労働者は出向先の「常勤の職員」にはなりません。
「請負」
請負については、労働者派遣の場合よりもさらに派遣先と労働者との契約関係は希薄になることから、労働者を派遣先の「常勤の職員」とすることは不適切になります。
しかし、例外的に、企業間の1年以上継続した請負契約に基づき、工事の一部又は全部を請け負った 企業に6か月以上継続的にフルタイムで雇用されるような人については、常勤職員とみなされる場合があります。これは、建設業・造船業に多く見られる請負契約の重層的な産業構造等の特殊性によるものです。
以上が「常勤の職員」についての説明になります。
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次回は、外国人が派遣事業を営む企業に就職する場合について説明します。