2019年6月13日
2019年5月に、法務省告示「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(「特定活動告示」と呼ばれます。)の一部が改正され、46号と47号が新設されました。
46号は、日本国内の大学や大学院を卒業した外国人で、円滑な日本語での意思疎通が求められる業務を行う人が該当します。47号は、46号の人の配偶者または子が該当します。
以下、46号の「特定活動」について、詳しく解説します。
1 該当範囲
「本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う、当該機関の業務に従事する活動」
2 要件
(1)本邦の大学(短期大学を除く。)を卒業し,又は大学院の課程を修了して学位を授与されていること。
(2)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
(3)日常的な場面で使われる日本語に加え、論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面で使われる日本語を理解することができる能力を有していることを試験その他の方法により証明されていること(※1)。
(4)本邦の大学または大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用すると認められること(※2)。
※1 具体的には、①日本語能力試験N1、②BJTビジネス日本語能力テストで480点以上、③大・大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業、のいずれかの場合です。
※2 業務内容に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること、または、今後当該業務に従事することが見込まれることが必要です。
3 解説
これまで、留学生が日本の企業等で就職する場合、基本的には在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更をする必要がありました。そのためには、大学の専攻内容と業務内容に関連性があり、かつ業務内容が専門的なものであることが求められてきました。そのため、飲食店・小売店等でのサービス業務や製造業務等のいわゆる現業業務がメインである場合には、在留資格の変更が認められてきませんでした。
しかし、企業側においては、語学力と専門的知識を有する留学生を幅広く採用したいというニーズが高まっていました。
そこで、こういった企業側の採用ニーズ及びこれまでの閣議決定等を踏まえ、日本の大学または大学院を卒業・修了した留学生については、大学または大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用することが見込まれ、日本語能力を生かした業務に従事する場合は、その業務内容を広く認めることとなりました。
4 具体的な活動例
この制度によって活動が認められる具体的な例として、出入国在留管理庁から、ガイドラインが以下のとおり公表されています。
ア 飲食店に採用され、店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行うもの(それに併せて、日本人に対する接客を行うことを含む。)。
※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。
イ 工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行うもの。
※ ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。
ウ 小売店において、仕入れや商品企画等と併せ、通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務を行うもの(それに併せて、日本人に対する接客販売業務を行うことを含む。)。
※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。
エ ホテルや旅館において、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業を行うものや、外国人客への通訳(案内)、他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うもの(それに併せて、日本人に対する接客を行うことを含む。)。
※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。
オ タクシー会社に採用され、観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ、自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの(それに併せて、通常のタクシードライバーとして乗務することをむ。)。
※ 車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。
カ 介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り,介護業務に従事するもの。
※ 施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。
以上、「特定活動告示」の改正について説明しました。
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