2019年6月11日
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について
「技術・人文知識・国際業務」は、本邦の公私の機関との契約に基づいて行う
①自然科学の分野(理系の分野)の専門的技術・知識を必要とする業務に従事する人
②人文科学の分野(文系の分野)の専門的技術・知識を必要とする業務に従事する人
③外国人特有の感性を必要とする業務に従事する人
のための在留資格です。
該当範囲
入管法には、以下のように規定されています。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務又は外国人の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動。」
ただし、このような活動に従事する場合であっても、「教授」、「芸術」、「報道」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「企業内転勤」、「介護」又は「興行」の活動に該当するときは、これらの在留資格になります。
1 活動の内容
(1)「自然科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務」
「自然科学」とは、以下のようなものをいいます。
数理科学、物理科学、化学、生物科学、人類学、地質科学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核科学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用化学、資源開発工学、造船学、計測・制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、農学、農芸化学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、蚕糸学、家政学、地域農学、農業総合科学、生理科学、病理科学、内科系科学、外科系科学、社会医学、歯科学、薬科学
「自然科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務」とは、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務であることを示すものであり、上記のような自然科学の分野に属する知識がなければできない業務です。
また、大学等において理科系の科目を専攻して修得した一定の水準以上の専門的知識を必要とするものであって、単に経験を積んだことにより有している知識では足りず、学問的・体系的な知識を必要とするものでなければなりません。
(2)「人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務」
「人文科学」とは、以下のようなものをいいます。
語学、文学、哲学、教育学(体育学を含む。)、心理学、社会学、歴史学、地域研究、基礎法学、公法学、国際関係法学、民事法学、刑事法学、社会法学、政治学、経済理論、経済政策、国際経済、経済史、財政学・金融論、商学、経営学、会計学、経済統計学
「人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務」とは、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務であることを示すものであり、上記のような人文科学の分野に属する知識がなければできない業務です。
大学等において文科系の科目を専攻して修得した一定の水準以上の専門的知識を必要とするものであって、単に経験を積んだことにより有している知識では足りず、学問的・体系的な知識を必要とするものでなければなりません。
(3)「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」
「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」とは、いわゆる外国人特有の感性、すなわち、外国に特有な文化に根ざす一般の日本人が有しない思考方法や感受性を必要とする業務を意味します。
また、「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」といえるためには、外国の社会、歴史・伝統の中で培われた発想・感覚を基にした一定水準以上の専門的能力を必要とするものでなければなりません。
2 基準
申請する人が、以下の「(1)と(3)」または「(2)と(3)」に該当していることが必要です。
(1)
「申請する人が自然科学または人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な知識を修得していること。
イ 当該技術もしくは知識に係る科目を専攻して大学を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けたこと。
ロ 当該技術もしくは知識に係る科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該知識に係る科目を専攻した期間を含む。)を有すること。」
つまり、「学歴」か「10年以上の実務経験」が必要になります。
学歴については、以前のブログを確認してください。
(2)
「申請する人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。」
「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」はイに例示列挙されています。
原則として3年以上の実務経験が必要ですが、大学を卒業した人が翻訳、通訳、語学指導の仕事をする場合は、実務経験がなくても認められる場合があります。
(3)
「申請する人が日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。」
日本人と同等以上の報酬を受けることが必要になります。
「報酬」については、以前のブログを確認してください。
今回は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」について説明しました。
次回も引き続き「技術・人文知識・国際業務」について説明したいと思います。
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