2018年8月29日
「ビザ」と「在留資格」
一般的に、日本に滞在している「外国人」のみなさんは、「観光ビザ」や「就労ビザ」などの「ビザ」を持つことによって滞在することができていると思っている人が多いと思います。
しかし、実際のところは、「ビザ(日本語では「査証」といいます。)」だけでは日本に滞在することはできません。「観光ビザ」「就労ビザ」という名称のビザもありません(「ビザとはなにか」という話は、長くなるのでまたの機会にします。)。
「外国人」のみなさんが日本に滞在するために必要なものは、「ビザ」ではなく、「在留資格」といわれるもので、日本には法律(「出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます。)」)によって定められた28種類(2018年8月現在)の「在留資格」があります。
「在留資格」とは
「在留」とは、ある期間、ある土地にとどまって住むこととされています。
つまり、在留資格とは「(日本に)一定期間、滞在するための資格」のことです。入管法には、以下の様に規定されています。
入管法 第2条の2
「本邦に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、それぞれ、当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る在留資格又はそれらの変更に係る在留資格を持って在留するものとする。」
難しく書かれていますが、「外国人が日本に滞在するためには『在留資格』がないとダメだよ。」ということです。
「外国人」とは
日本に滞在するために「在留資格」が必要な「外国人」とはどんな人たちのことを指すのでしょうか。
これも、「入管法」に書かれています。
入管法 第2条2号
「外国人 日本の国籍を有しない者をいう。」
「外国人」とは「日本国籍」を持っていない人のことをいいます。
「日本人」とは
それでは、「日本人」とはどんな人たちのことを指すのでしょうか。
これは、「日本国憲法」に書かれています。
日本国憲法 第10条
「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」
日本国民(日本人)である要件は、「法律」で決めるとされています。
「国籍法」という法律が、ここでいわれている「法律」になります。
国籍法
第1条
「日本国民たる要件は、この法律で定めるところとする。」
第2条
「子は、次の場合には、日本国民とする。 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき 二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき」
第3条
「父又は母が認知した子で20歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。 2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。」
第4条
「日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。 2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。」
細かい規定はありますが、基本的な類型は
①お父さんかお母さんが日本人
②法務大臣から帰化を許可された外国人
の二つとなります。
以上、今回のブログでは、「ビザと在留資格」「日本人と外国人」について書きました。
「ビザと在留資格」については、普段の生活では必ずしも正しい名前を使う必要はありません。
実際に、当法人もみなさんの「在留資格」に関するお手伝いをするのですが「ビザサポート」という名前です。
けれど、公的な書類(住民票や在留カードなど)や、入国管理局への申請書類には、正しい名前を使わなければいけないので、ちょっとだけ覚えておくといいかもしれません。