2019年11月7日
本日から2回にわたり、在留資格「芸術」について説明します。
第1 在留資格の審査
1 芸術の在留資格について
「芸術」の在留資格は、芸術分野の国際交流を推進し、我が国における同分野の向上発展のため、音楽家、文学者等を受け入れるために設けられたものです。
2 該当範囲
入管法では日本において行うことができる活動を以下のとおり規定しています。
収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動(二の表の興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)
具体的には、次に掲げる者が行う収入を伴う芸術上の活動が該当します。ただし、芸能等を公衆に見せるなどして収入を得ることを目的とする興行の形態で行われる芸術上の活動は該当しません。
(1)創作活動を行う作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、著述家、写真家等の芸術家
(2)音楽、美術、文学、写真、演劇、舞踊、映画その他の芸術上の活動について指導を行う者
3 審査のポイント
(1)在留資格決定時
ア 申請書の入国目的欄又は希望する在留資格欄が「芸術」であること、活動内容欄、経歴欄及び立証資料により、申請人の活動の実績及び活動内容から、行おうとする活動が「芸術」の在留資格に該当するものであることを確認される。
イ 申請書の月額報酬額欄及び立証資料により、その報酬が申請人が日本で就労を予定する期間において、「芸術」の在留資格をもって活動するに十分な額であることを確認される。
(注)申請人の所属する機関や契約する機関が存在しない場合は、申請書のうち「所属機関等作成用」は、申請人が作成するものとする(在留期間の更新時において同じ。)。
(2)在留期間の更新時
ア 申請書の活動内容欄、経歴欄及び立証資料により、行おうとする活動が引き続き「芸術」の在留資格に該当するものであることを確認される。
イ 申請書の月額報酬欄並びに住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書により、その報酬が申請人が日本で就労を予定する期間において、「芸術」の在留資格をもって活動するに十分な報酬であることを確認される。
4 審査の留意事項
(1)展覧会への入選等芸術家又は芸術上の活動の指導者等として相当程度の業績があり、芸術活動に従事することにより日本で安定した生活を営むことができるものと認められることが必要である。
(2)芸術上の活動のみにより日本において安定した生活を営むことができると認められることが必要である。安定した生活を営むことができるとは、芸術上の活動を行うことはもとより、日本において社会生活をおくることが可能な収入を得ることをいう。
(3)大学等において芸術上の「研究の指導又は教育を行う活動」は、在留資格「教授」に該当する。
(4)外国人の行う活動が収入を伴う芸術上の活動であっても、その活動が「興行」の在留資格に該当する場合は、「興行」の在留資格が決定される。例えば、興行の形態で行われるオーケストラの指揮者としての活動は、芸術上の活動であっても、「芸術」の在留資格ではなく、「興行」の在留資格に該当することとなる。なお、興行の活動を行う外国人に随伴して入国・在留するものでない興行に関係する活動を行う者で、芸術に該当する活動を行うもの、例えば、独立して入国・在留する演出家、振付師、脚本家等は「芸術」の在留資格に該当する。
(5) 収入を伴わない芸術上の活動は「文化活動」の在留資格となる。
以上、在留資格「芸術」の前編について説明しました。
この続きは明日ご説明させていただきます。
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