2019年8月5日

パスポートとビザの概要とその違いについて

1 パスポート(旅券)とは

パスポート(旅券)は、国籍国の政府もしくは政府に相当する公的機関によって交付される、「身分証明書」です。

国籍国から他の国に移動する場合に必要となります。

多くの国のパスポートは、手帳の形状をしており、ビザ(査証)が貼付されたり、出入国日が記載されたスタンプなどが押されたりします。

 

2 ビザ(査証)とは

ビザ(査証)は、移動先の国の政府もしくは政府に相当する公的機関によって発給される、「入国の事前審査が済んでいることの証明書」です。

通常は、移動先の国の在外公館(大使館、領事館など)で発給されます。

パスポートの中の1ページに貼付されることが多いです。

 

3 具体的な例

フィリピン人のXさんが、日本に旅行したい場合。

⑴ パスポート(旅券)の交付申請

DFA(フィリピン外務省)の各地方オフィスで、パスポート(旅券)の交付申請をして、パスポートを交付してもらいます。

パスポートは、フィリピン政府が「Xさんはフィリピンの国民である」と証明するものです。

⑵ ビザ(査証)の発給申請

パスポートが交付されたら、在フィリピン日本国大使館(マニラ)などで、ビザ(査証)の発給申請をして、ビザを発給してもらいます。

ビザは、日本政府が「Xさんは日本に入国することに問題のない人である」と証明するものです。

⑶ 日本への上陸

ビザをもらったあと、Xさんは、飛行機や船で日本に行くことになります。

ビザはあくまで「事前審査が済んでいることの証明書」ですので、日本に「上陸」することができるかは、空港・港に到着後の「上陸審査」で決められます。

「上陸許可」を得ることができたら、無事に日本で観光などができるということになります。

 

以上、パスポートとビザについて説明しました。次回の記事では入国や上陸について説明します。

 

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2019年8月2日

愛知県外国人起業活動促進事業

1 愛知県外国人起業活動促進事業の概要について

外国人起業活動促進事業は、外国人起業家の受入れ拡大と起業の促進を目的として、経済産業省から計画の認定を受けた自治体において活用できる制度で、愛知県は、2019年3月26日にその認定を受け、2019年4月1日から、この事業を開始しました。

対象者は愛知県内で起業を志す人で、対象業種はIT分野(情報通信業)、革新的技術・技能の分野に限られます。

 

2 メリットについて

日本での起業を考えている人が、在留資格「経営・管理」の在留資格を取得するためには、①事務所を確保していること、②会社に500万円以上を投資していることまたは常勤の職員が2人以上いることという要件を満たす必要があります。

この事業を利用する最大のメリットは、上記①②の要件を満たしている必要がなく、事業所の確保や会社の設立をするための準備の期間として在留資格がもらえることです。

 

3 手続の流れ
日本での起業を考えている人が、愛知県に対して「起業準備活動計画書」やその他の資料を提出します。

愛知県は、1年以内に在留資格「経営・管理」の要件を満たすかどうかの見込みを判断し、見込みがあると判断された場合には「確認書」を交付します。

「確認書」が交付されたら、入国管理局に在留資格の申請を行い、審査をパスした場合には、在留資格「特定活動」(在留期間6月。1回まで更新可能。)が認められます。

 

4 以前の事業との違いについて

以前のブログでも書いた通り、愛知県では、従来から外国人を対象とした創業活動促進事業を行ってきました。

今回紹介した事業が、従来の事業と大きく異なるところは、留学生など、日本に在留資格を持って在留している人でも利用できるところです。

その代わり、対象分野は、IT分野(情報通信業)、革新的技術・技能の分野に限られています。

 

以上、2019年4月1日から始まった愛知県外国人起業活動促進事業について説明しました。

 

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2019年8月1日

退去強制~退去強制令書発布後~

1 退去強制令書が発布されてしまったら

退去強制手続が終了し、「退去強制令書」が発布された後に、日本での在留を希望する場合には、「再審情願」を行うか、行政訴訟を提起する必要があります。

 

2 「再審情願」について

「再審情願」は、裁決を行った法務大臣や出入国在留管理庁長官、各地方出入国在留管理局長などに対し、その裁決の見直し(再審)を求めるものです。

入管法には再審を求めることができるという規定があるわけではないので、「再審情願」は入管法に基づく正式な手続ではありません。

日本国憲法第16条(請願権)及び請願法に基づく「請願」の一種として行う手続となります。

再審情願は、法務大臣等に応答義務がなく、また、入管が下した最終判断の取消・撤回を求めるものであるので、認められる可能性は限りなく低いものです。裁決時からのなんらかの事情変更、例えば、婚姻や子の出生などを主張し、再審を求めることとなります。

また、再審情願を行っていても、退去強制令書の執行は停止しないため、収容は継続し、送還される場合もあります。

 

3 行政訴訟について

再審情願は、上記のとおり認められる可能性が低いため、同時に裁判所に対して行政訴訟を提起することがあります。

退去強制令書発布処分の取消訴訟、在留特別許可の義務づけ訴訟などを提起することとなります。

行政書士は、訴訟の代理人となることができないので、当法人にご相談いただいた場合には、提携している弁護士をご紹介することとなります。

 

以上、退去強制令書発布後の手続、再審情願及び行政訴訟について説明しました。

 

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2019年7月31日

退去強制~収容・仮放免~

収容について

前回のブログで説明したように、退去強制手続きの流れでは退去強制自由に該当されると思われる外国人は、入国警備官より違反調査が行われます。その結果、容疑があるとみなされると収容施設に収容されます。

収容される期間については、収容令書に基づく収容期間は最長60日間におよび、その後の退去強制令書発布に基づく収容は、すみやかに送還できない場合には、送還可能なときまで無期限に収容することができるとされています。

 

1 収容を解くための法的手段

収容と解くための手段として、入管法上「仮放免」と「特別放免」とが規定されています。

「特別放免」は、職権による手続きであり、実務上ほとんど行われていません。

以下では、「仮放免」について説明していきます。

 

2 「仮放免」とは

仮放免とは、収容されている本人や、代理人、配偶者など本人と一定の関係を有する人の請求により、一時的に収容を停止し、身柄を解放する措置の事です。

刑事手続における「保釈」に類似した制度です。

 

3 「仮放免」許可後の生活条件

(1)仮放免の期間

収容令書による収容における仮放免の場合は、原則として退去強制手続きの最終判断が下されるまでになります。

退去強制令書発布後の収容における仮放免の場合は、原則1カ月、病気治療など特別な事情がある場合は3カ月以内の期間が定められます。

(2)住居及び行動範囲の制限

仮放免申請の際に住所を申請します。行動範囲は、その住居の属する都道府県と、入国管理局に出頭する際の経路に制限されます。

転居をする場合や、制限範囲外に出る場合には、仮放免事務を担当する入国管理局に許可を得る必要があります。

(3)呼び出しに対する出頭義務

入管の呼び出しに対して出頭する義務があります。通常は仮放免許可書に次回の出頭日時を記入されるます。

退去強制令書発布後の仮放免の場合は、仮放免の期間が原則1カ月である為、出頭の都度、仮放免期間の延長許可申請を行う事になります。

 

以上、退去強制手続に関して、収容と仮放免について説明しました。

 

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2019年7月30日

退去強制について

1 退去強制について

「退去強制」とは、入管法に定められた行政処分の一つで、日本に滞在している外国人を強制的に日本から退去させることをいいます。

退去強制に至るまでの調査・審理手続を「退去強制手続」といいます。

 

2 退去強制事由

退去強制されてしまう人は、入管法24条に定められた「退去強制事由」に該当する人です。

・不法に日本に入国した者・不法に日本に上陸した者・在留資格が取消された者・在留カードなどの偽造、変造を行った者・日本に不法に残留している者(オーバーステイ)、・刑罰法令に違反した者、・売春関係業務に従事した者

などです。

 

3 退去強制手続の流れ

退去強制手続の主な流れは、次のとおりです。

(1)違反調査

退去強制事由に該当すると思われる人に対して、入国警備官が行います。

※ 退去強制事由に該当していることを認識している人は、自ら入管に出頭することもできます。

出頭した場合は、摘発された場合に比べて、後の仮放免申請や在留特別許可申請において情状が考慮される可能性があります。

(2)収容

違反調査の結果、退去強制事由に該当すると疑う相当の理由があると認められた場合、地方出入国在留管理局の主任審査官が発付する収容令書により収容されることとなります。

(3)違反審査

入国警備官は、退去強制事由に該当すると思われる人を入国審査官に引き渡します。

入国審査官は、引き渡された人が退去強制対象者に該当するかどうかを審査します。

(4)口頭審理

入国審査官が退去強制対象者に該当すると認定した場合において、認定が誤っていると主張したり、在留特別許可を求めたりするときは、特別審理官に対して口頭審理を請求することにより、審問が行わます。

口頭審理の結果に不服がある場合は、さらに法務大臣に対して異議の申出をすることができます。

(5)法務大臣の裁決~退去強制令書発布

法務大臣が異議の申出に理由がないと判断し、在留を特別に許可する事情がないと判断した場合は、退去強制令書が発布されます。

(6)送還

退去強制令書が発布された場合は、入国警備官は、速やかに被退去強制者を送還しなくてはいけません。また、すみやかに送還できない場合は、送還可能なときまで収容することができるとされています。

 

以上、退去強制について説明しました。

 

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2019年7月29日

永住許可申請書類変更について

1 永住許可に関するガイドラインの改訂

2019年5月31日に、「永住許可に関するガイドライン」が改訂されました。

 永住許可に関するガイドライン」(法務省ホームページ)

この「永住許可に関する」ガイドラインは、入管が永住許可の審査をするうえでのガイドラインであるため、今後の永住許可申請に大きな影響を与えます。

 

2 ガイドライン改定のポイント

(1)年金、医療保険の納付について

これまで、ガイドラインには「納税義務等公的義務を履行していること」と記載されていました。

今回の改訂により「公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること」と変更され、納税だけではなく年金、医療保険料の納付について明記されることとなりました。

(2)在留期間要件について

永住許可申請をするためには、「原則として10年以上日本に在留していること」という在留期間両県がありますが、在留資格「技能実習」と在留資格「特定技能」によって日本に在留している期間は、この「原則10年」に参入しないことが明記されました。

 

3 永住許可申請の提出資料

このガイドライン改訂を受け、2019年7月1日から、提出資料が増えました。

一例として、就労系の在留資格で日本に在留している人が永住許可申請を行う場合における提出資料の変更箇所を以下に記載します。

 

(1)住民税(都道府県民税、市区町村民税)について
ア 直近5年間の課税・納税証明書

※ これまでは直近3年間

イ 直近5年間において滞納が無いという事を証明する資料(通帳の写し、領収証書等)

※ これまでは記載なし

(2)国税について

市区町村の住民税に加えて国税(所得税、消費税、相続税、贈与税)に関する証明書

※ これまでは記載なし

(3)年金について

直近2年間の「ねんきん定期便」または「ねんきんネットの年金記録」の印刷画面、または国民年金保険料領収証書(写しで可)

※ これまでは記載なし

(4)健康保険について

ア 国民健康保険被保険者証(写し)または健康保険被保険者証(写し)※現在加入しているもの

※ これまでは記載なし

イ 直近2年間の国民健康保険料(税)納付証明書 ※区役所などで発行

※ これまでは記載なし

ウ 直近2年間の国民健康保険料(税)領収証書(写し)

※ これまでは記載なし

 

今回追加された資料に関しては、これまでの審査でも提出を求められるケースがありました。

特に年金や保険料についての資料は、必ずといっていいほど提出を求められていたので、運用上の提出書類を明文化しただけともとらえることができます。

 

以上、永住許可申請書類変更について説明しました。

 

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2019年7月26日

特定技能~外食産業の試験について~

以前のブログで説明したように、2019年4月の入管法改正により、在留資格「特定技能」が新設され14種類の業種に外国人の就労が認められましたました。

この在留資格「特定技能」への変更等を行うためには「技能測定試験」と「日本語能力試験」に合格することが要件とされています。

 

「技能測定試験」について

2019年4月14日、宿泊分野についての技能測定試験が、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7カ所で行われました。

国土交通省によると、761人が申し込み、391人が受験し、280名が合格しました。

 

外食業においては、第1回が4月25日、26日に、第2回が6月24日、27日、28日に行われています。

第1回の合格者は347人、第2回の合格者は984人となっています。

 

外食業における第3回から第5回試験について

7月17日、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構が、第3回から第5回の外食業の技能測定試験について、概要を発表しました。

また、7月25日には、第3回試験の申込方法等の詳細も公表されました。

 

第3回試験

開催時期 9月6日

開催地  金沢・高松・那覇

受験申請受付期間

7月30日(火)〜8月2日(金) AM10:00~PM5:00

8月5日(月)〜8月6日(火) AM10:00~PM5:00

定員  300~400人

合格発表 9月下旬

 

第4回試験

開催時期 11月中旬

開催地  新潟・さいたま・東京・名古屋・神戸・広島・熊本

定員   3000人程度

募集開始 10月上旬

合格発表 12月上旬

 

第5回試験

開催時期 2月中旬

開催地  札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡

定員   3000人程度

募集開始 1月上旬

合格発表 3月上旬

 

第4回、第5回については、3000人程度の定員という、今までにない規模になっています。

 

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2019年7月25日

難民認定申請について

1 「難民」とは

1951年に、国連において採択された「難民の地位に関する条約(難民条約)」と、1966年に採択された、それを補充するための「難民の地位に関する議定書」が、1982年に日本においても発効しました。

難民条約において、「難民」とは、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者と定義されています。

難民認定申請とは、入管に対し、この「難民」に該当するかどうかを審査してもらうための申請です。

 

2 難民認定申請の流れ

(1)難民認定申請

入管に対し、「難民認定申請書」を提出し、難民認定申請を行います。

(2)証拠資料の提出

難民認定申請を行った人は、入管に対し、自身が難民であることを証明する証拠資料や証拠物を提出します。

日本の難民認定制度では、申請を行った人が、自身が難民であることを証明しなくてはいけません。

(3)インタビュー

難民調査官より、申請を行った人に対するインタビューが行われます。

インタビューで聞き取った内容をもとに、「供述調書」が作成されます。

(4)結果の通知

それまでの調査結果をもとに、難民認定もしくは不認定の処分が決定され、申請を行った人に通知されます。

難民の認定を受けた人は、在留資格「定住者」への変更を行うことができます。

不認定となった人は、日本から退去しなければいけなくなりますが、不認定処分に対して不服を申し立てる「審査請求」を行うこともできます。

 

3 審査請求について

(1)審査請求

不認定の通知を受けた日から7日以内に、入管に対して審査請求を行います。郵送での申請も可能です。

(2)「申述書」及びその他証拠書類の提出

審査請求の日から6週間以内に「申述書」を提出します。その他の証拠書類も提出します。

(3)「口頭意見陳述」

難民審査参与員による口頭意見陳述が行われます。参与員が不要と判断した場合は、行われないこともあります。

(4)裁決

審査請求の結果が通知されます。

審査請求に理由があると判断された場合は難民として認定されます。

理由がないと判断された場合は棄却または却下され、難民認定手続が終了します。「再審査請求」を行うことはできません。

 

4 再申請について

現在、難民認定の再申請は、非常に認められ難くなっています。

少なくとも、1度目の申請とは異なる理由での申請でなければ受理されません。

また、仮に再申請が認められたとしても、就労制限(就労が許可されない)をされることが多くなっています。

 

5 日本の難民認定制度の現状

以前のブログでも書いたように、日本の難民認定制度における難民認定者は非常に少ないです。

また、政府(法務省)が濫用的申請を危惧して2018年1月から難民認定制度の運用を見直したことにより、難民認定申請者が大幅に減少したようです。

 

以上、難民認定申請について説明しました。

 

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2019年7月24日

在留資格「特定活動」(Designated Activities)~告示外特定活動5 出国準備~

告示外特定活動5 出国準備

1 「特例期間」について

在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請をしている人は、本来の在留期限を過ぎている場合でも、審査の結果が出るときまたは本来の在留期限から2か月が経過した日のいずれか早い時までは、オーバーステイにならずに、現在持っている在留資格で日本にいることができます。この期間を「特例期間」といいます(入管法第20条第6項、第21条第4項)。

 

2 告示外特定活動「出国準備」について

特例期間中に在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請が不許可となった場合、結果を受け取った時点でオーバーステイとなってしまいます。

しかし、特例期間という制度を設けているにもかかわらず、不許可の場合にすぐにオーバーステイになってしまってはあまりにも不許可になった人に不利益となってしまうこと、また、許可されることを期待して審査の結果を待っていた人が短期間ですぐに本国に帰る準備をすることは現実的に難しいことから、告示外特定活動である「特定活動」(在留期間30日または31日)への在留資格変更を促し、不許可になった人が了承した場合には変更を許可するという運用がされています。

 

3 在留期間について

この特定活動(出国準備)には、「30日」と「31日」と2種類の在留期間が存在します。

入管法第20条第6項に「30日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。」と書かれていることから、30日の場合には上記1記載の「特例期間」が発生せず、31日の場合には発生することが、30日と31日の大きな違いです。

つまり、31日の在留期間の場合には、在留期限までに申請を行えば、審査の結果が出るときまたは本来の在留期限から2か月が経過した日のいずれか早い時までは日本にいることができるということです。

在留期間が30日になるか31日になるかは入管の裁量に委ねられているため、31日の在留期間が付与されるための明確な基準といったものはありません。

しかし、再申請を行った際に許可される可能性が高くなる有利な材料を示すことや、事情の変更によってほかの在留資格への変更許可申請を行いたいと伝えることで、31日の在留期間を付与される場合があります。

 

以上、告示外特定活動「出国準備」について説明しました。

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2019年7月23日

在留資格「特定活動」(Designated Activities)~告示外特定活動4 難民認定申請者~

告示外特定活動4 難民認定申請者

難民認定申請(不認定処分にかかる審査請求)を行っている人で、他の在留資格に該当しない人には、告示外特定活動である在留資格「特定活動」が与えられます。

 

難民認定制度運用の見直し

政府発表によると、2018年の難民認定の申請数は10、493人であり、それに対し、難民として認定された人及び難民とは認定されなかったものの人道上の理由から特別に在留資格を与えると決定された人はたった82人であり、認定率は1%未満です。

難民認定申請者は、難民認定申請中はこの告示外特定活動である在留資格「特定活動」が与えられます。

2017年以前は、難民認定申請者の多くの人に、在留資格「特定活動(就労制限あり)」(在留期間6月)が与えられ、一度の更新の後、就労制限がなくなるという運用がされていました。

しかし、2018年1月、法務省は「難民認定制度の適正化のための更なる運用の見直しについて」と題する発表を行い、難民認定制度運用に際し、「特定活動」の条件・期間が厳格化されることとなりました。

上記のとおり、それまでは、初回申請時には在留期間6月の「特定活動」が与えられていましたが、2018年1月以降は、各案件の内容を振り分ける期間として在留期間2月の「特定活動」が与えられることになりました。

その振り分け期間後、難民の可能性が高い人には、十分な審査期間を確保するために6月の在留期間や就労許可が与えられ、難民の可能性が低い人には、在留制限(在留資格を与えない措置)や就労制限(就労許可を与えない措置)が執られます。

法務省の見解は、日本で働くために濫用的な難民申請が行われていることにより、業務が滞り、保護すべき「難民」を迅速に保護することができない現状を是正する措置であるということのようです。

 

以上、難民認定申請者の在留資格である告示外特定活動について説明しました。

 

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