2019年10月23日
本日より2回にわけて、在留資格「外交」についての説明をさせていただきます。
第1 在留資格の審査
1 外交の在留資格について
「外交」の在留資格は、諸外国との外交関係及び国際機関との協調を維持・発展させることを目的とし、日本国政府が接受する外交官、領事官等及び国連特権免除条約第5条第19項に規定する国連の事務局長及び事務局次長や国際機関の事務局長、同事務局長が指定する国際機関の上位の職員を受け入れるために設けられたもので、国際法上、出入国制限及び外国人登録の免除等の特権及び免除が認められています。
2 該当範囲
日本において行うことができる活動を以下のとおり規定しています。
日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動
(1)該当範囲
具体的には、次に掲げる者としての活動が該当します。
ア 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団の長及び外交職員
(注) 「外交使節団の長及び外交職員」には、日本国政府に接受される大使、公使、参事官、書記官等の外交職員が該当する。「外交職員」とは、使節団の職員で外交官の身分を有するものをいう(外交関係に関するウィーン条約(昭和39年条約第14号)第1条(d))。
イ 日本国政府が接受する外国政府の領事官
(注)「領事官」には、日本国政府に接受される総領事、領事、副領事、代表領事等の領事官が該当する。「領事官」とは、その資格において領事任務を遂行する者をいい(領事関係に関するウィーン条約(昭和58年条約第14号)第1条1(d))、名誉領事は含まない。
ウ 条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者
(ア)国家元首、閣僚、議会(地方議会を除く。)の議長及びこれらの者と同格以上の者並びにこれらの者の随行員として本国政府から派遣された者
(イ)日本に出張して外交用務に従事する者(外交伝書使を含む。)
(ウ)日本国政府又は国際機関主催の会議に出席する外国政府(日本国政府の承認していないものを除く。)又は国際機関(日本国政府の承認していないものを除く。)の代表団の構成員
(注)「国際機関」とは、複数の政府の加盟する機関をいい、国際連合及びその専門機関並びに日本が加盟している国際条約の執行機関、EU等がある。
(エ)国際連合の事務総長及び事務次長
(オ)国際連合の専門機関の事務局長(その不在の間これに代わって行動する職員を含む。)
(カ)その他個別の条約その他の国際約束により外交使節と同様の特権及び免除を受けることが定められている者
エ 上記アからウまでに該当する者と同一の世帯に属する家族の構成員
(注)「外交」の査証を所持する者の配偶者等で、香港SAR旅券又はマカオSAR旅券を所持する者に対しては、儀礼的に「外交」査証が発給されることとなることから、「外交」の在留資格を付与される。
(2)用語の意義
ア 「接受」とは、外交使節団の長の場合はアグレマン(事前の同意)を与えられ、接受国が信任状を与えることにより、外交使節団の長を除く外交使節団の構成員及び領事機関の構成員の場合は派遣国が接受国に通報し、接受国が身分証明書を発給することにより行われる。
(注)① 外交使節団の長とは、大使、公使及び代理公使をいう。
② 外交使節団の構成員とは、外交使節団の長及び外交使節団の職員をいう。
③ 外交使節団の職員とは、外交使節団の外交職員、事務及び技術職員並びに役務職員をいう。
④ 外交職員とは、外交使節団の職員で、外交官の身分を有するものをいう。
⑤ 領事機関の長については、外交使節団の長と異なり、接受国のアグレマンを求める必要はなく、接受国の許可書(認可状と呼ばれる。)の交付により接受を承認される。
⑥ 領事機関の構成員とは、領事機関の長及び領事機関の職員をいう。
⑦ 領事機関の職員とは、領事機関の長以外の領事官、事務及び技術職員並びに役務職員をいう。
イ 「外交使節団の構成員」及び「領事機関の構成員」には、それぞれ外交職員、領事官のほか事務及び技術職員並びに役務職員も含まれるが、日本国政府が「外交職員」として「接受」するのは、それぞれ外交官及び領事官に限られているので、その他の事務・技術職員及び役務職員は「外交」の在留資格には該当せず、「外国政府の公務を帯びるもの」として「公用」の在留資格に該当する。
以上、在留資格「外交」についての前編でした。
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