2019年10月7日
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(昭和60年法律第88号)(以下本節において「派遣法」という。)に基づき労働者派遣事業を営む企業等へ派遣労働者として就職する者について、入管では次の点を審査されます。
1 派遣法概要について
(1)労働者派遣の意義
自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする(派遣法第2条第1号)。
(2)派遣に係る法的制限
ア 派遣期間
派遣先への派遣期間は原則として1年であり(派遣法第40条の2第2項第2号)、3年まで延長することが可能であるが、労働者の代表(過半数により組織され労働組合又は過半数により選任された代表者)の意見を聴取する義務がある(同条第3項)。期間は、同一業務について通算され、期間を超えて同一の業務を継続する場合、派遣労働者を直接雇用しなければならないこととされている(同法第40条の3から5まで)。
イ 派遣業務
(ア)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令(昭和61年政令第95号)第4条で定める18業務
(注)専門的な知識や技術を要する次の業務をいう。
①ソフトウェア開発業務、②機械設計業務、③事務用機器操作業務、④通訳、翻訳、速記業務、⑤秘書業務、⑥ファイリング業務、⑦調査業務、⑧財務処理業務、⑨貿易取引業務、⑩デモンストレーション業務、⑪ツアーガイド業務、⑫案内・受付、駐車場管理等業務、⑬研究開発業務、⑭事業の実施体制の企画、立案業務、⑮書籍等の製作・編集業務、⑯広告デザイン業務、⑰OAインストラクション業務、⑱セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係の業務
(イ)業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務
(ウ)事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であつて一定の期間内に完了することが予定されているもの
(エ)その業務が1か月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下である業務
(オ)当該派遣先に雇用される労働者が労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項及び第2項の規定により休業し、並びに育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第2条第1号に規定する育児休業をする場合における当該労働者の業務その他これに準ずる場合として厚生労働省令で定める場合における当該労働者の業務
(カ)当該派遣先に雇用される労働者が育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第2号に規定する介護休業をし、及びこれに準ずる休業として厚生労働省令で定める休業をする場合における当該労働者の業務
(注)医療業務(ただし、紹介予定派遣、出産・育児・介護休業の代替要員、僻地及び社会福祉施設への派遣は可能。)、建設業務、警備業務、港湾業務に労働者を派遣することはできない(特に、警備はそれ自体が派遣同等になる。)。
ウ 再派遣の禁止
派遣社員を派遣先から更に派遣させることはできない。
(3)派遣労働者の分類
ア 常用型派遣
派遣先の有無にかかわらず、派遣業者と雇用契約が結ばれている状態の派遣をいう。「正社員派遣」、「定常型派遣」とも呼ばれる。常用型派遣労働者には、特定労働者派遣事業主に正社員や契約社員として雇用される労働者及び雇用主が一般労働者派遣事業主であっても、正社員や契約社員として雇用されている労働者がある。
イ 登録型派遣
派遣先が存在する時のみに派遣業者と雇用契約の関係が生じる状態の派遣をいう。
(4)労働者派遣事業
ア 特定労働者派遣事業
派遣元に常時雇用される労働者を他社に派遣する形態をいう。一般労働者派遣の業者に比べると、特定の事業所に対し技術者などを派遣する業者が多い。
イ 一般労働者派遣事業
派遣元に常時雇用されない労働者(契約社員)を他社に派遣する形態をいう。臨時・日雇い派遣もこれに該当する。一般的に「派遣会社」にこの形態の事業者が多い。
2 入管での取扱いについて
(1)活動内容
申請人が日本において行おうとする活動は、派遣先において従事しようとする活動に基づき、在留資格該当性を判断する。
(2)活動の継続性
派遣労働者には、上記(3)のとおり常用型派遣と登録型派遣があるところ、原則として常用型派遣であることを要する。ただし、登録型派遣であっても、許可する在留期間内に派遣元との雇用契約に基づき、特定された派遣先において許可する在留資格に係る活動を行うことが見込まれる場合は、登録型派遣であっても差し支えない。
以上、「派遣事業を営む企業等へ就職する外国人」について説明しました。
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