2019年10月3日
在留資格「経営・管理」、「興行」及び「留学」に係る上陸基準省令において、「常勤の職員」に関する要件が定められています。
内容については次の通りです。
1 職務内容等一般的事項
勤務が、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の勤務計画の下に毎日所定の時間中、常時その職務に従事しなければならないものであること。また、職務に応じた給与等が設定されていること。
2 勤務時間等待遇から見た場合
常勤の職員とは、パートタイマーと対比し、次の点に注意して判断されています。
(1)労働日数が週5日以上、かつ、年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上の者(労働基準法第39条、同法施行規則第24 条の3)。
(注)法定労働時間は、1日当たり8時間であり、1週当たり40 時間と設定されている(労働基準法第32条)
(2)入社日を起算点として、6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した職員に対し10日以上の年次有給休暇を与えられること(労働基準法第39条)。
(3)雇用保険の被保険者であり、かつ、一週間の所定労働時間が30時間以上であること。ただし、「短期雇用特例被保険者」(いわゆる「期間工」や「季節労働者」)又は「日雇労働被保険者」となっている者を除く。
3 雇用形態から見た場合
使用者と労働者との間で締結される契約の形態については、直接雇用のほかに「出向」、「派遣」及び「請負」の形態があります。
次の理由から、「出向」のうちの「在籍出向」、「派遣」及び「請負」の形態で業務に従事している労働者は、業務に従事している事業所の常勤の職員と見ることはできません。
(1)出向
労働者が自己の使用者を離れて第三者の下で就労する労働形態を「出向」という。「出向」には、①労働契約上の契約当事者たる地位(従業員としての地位)を出向元会社に残す場合の「在籍出向」と、②労働契約上の契約当事者たる地位(従業員としての地位)を出向先会社に移す場合の「移籍出向」がある。
出向の主要な目的は、関連企業間の人事交流や業務提携、従業員の研修、余剰人員問題処理のための人員調整等様々な理由によるもので、多くの場合、2、3年といった出向期間が明示又は黙示によって定められる。また、出向後の待遇に変化がないような措置がとられることにより労働者の包括的又は個別的な同意を得て行われる。
(注1)「在籍出向」を単に「出向」と呼ぶ場合があるが、ここでは「移籍出向」と区別するため「在籍出向」と呼ぶ。
(注2)「移籍出向」を「転籍」又は「転属」とも呼ぶ。
(注3)労働者が出向する場合の元々雇用されている企業を「出向元」と呼び、出向により新たに勤務することとなる企業を「出向先」と呼ぶ。
ア 在籍出向
出向労働者は、出向元(以下「甲」という。)、出向先(以下、「乙」という。)双方と労働契約関係を有するが、契約上の権利義務が重複するものではなく、単一である労働契約が内容的に二つに割れて、それぞれの契約に属していることとなる。
労働契約内容の分担は、契約の内容により様々であるが、退職や解雇に関する事項については、基本的には出向元が労働契約の当事者となることに代わりはない。このため、乙の下で働く甲からの在籍出向の労働者を乙の「常勤の職員」とすることは不適切である。
イ 移籍出向
甲との労働契約を解消して乙との間に労働契約を成立させるものであり、従業員としての地位が出向先に移転し、一般的に復帰は予定されていないことから労働者の合意はあくまでも当該労働者による個別的な同意があってのみ認められる。当該労働者は、乙との間に一般的、包括的な労働契約関係をもつこととなるため、これを乙の「常勤の職員」とすることが相当である。
(2)労働者派遣
派遣元(以下「丙」という。)の事業主が労働者との雇用契約を維持したままで派遣先(以下「丁」という。)の事業主の指揮命令下で労働させるもので、丁の事業主と労働者との間に雇用関係が存在しないものをいう。この場合、労働者は、丁との間に一切の雇用関係を有していないため、当該労働者を丁の「常勤の職員」とすることは不適切である。
(3)請負
請負については、労働者派遣の場合よりもさらに注文主(以下、「己」という。)と労働者との契約関係は希薄になることから、当該労働者を己の「常勤の職員」とすることは不適切である。
(注)企業間の1年以上継続した請負契約に基づき、工事の一部又は全部を請け負った企業に6か月以上継続的にフルタイムで雇用される者については、己の常勤職員と見る場合がある。これは、建設業・造船業に多く見られる請負契約の重層的な産業構造等の特殊性によるものである。
以上、「常勤の職員」について説明しました。
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