2019年6月3日
「永住者の配偶者等」について
「永住者の配偶者等」は、在留資格「永住者」、「特別永住者」の配偶者または子どもがもらえるビザです。
以前に説明した「日本人の配偶者等」と合わせて、「結婚ビザ」と呼ばれることもあります。
該当範囲
入管法には、「日本人の配偶者等」の身分又は地位について、以下のとおり規定されています。
「永住者の在留資格をもって在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」と総称する。)の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者」
具体的には、次の(1)から(3)の身分を有する者が該当します。
(1)永住者等の配偶者の身分を有する者
※「配偶者」とは、現に婚姻関係中の者をいい、相手方の配偶者が死亡した者又は離婚したものは含まれせん。また、婚姻は法的に有効な婚姻であることを要し、内縁の配偶者や外国で有効に成立した同性婚のパートナーは含まれません。
なお、「外国で有効に成立した同性婚のパートナー」は、在留資格「特定活動」に該当する場合があります。
※法律上の婚姻関係が成立していても、同居し、互いに協力し、扶助しあって「社会通念上の夫婦の共同生活を営む」という婚姻の実体を伴っていない場合には、日本人の配偶者としての活動を行うものとは判断されません。「社会通念上の夫婦の共同生活を営む」といえるためには、合理的な理由がない限り、同居して生活していることが必要となります。
(2)永住者等の子として本邦で出生し、出生後引き続き本邦に在留する者
※①出生の時に父又は母のいずれか一方が永住者の在留資格をもって在留していた場合、又は②本人の出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡のときに永住者の在留資格をもって在留していた場合が、これに当たります。
※本人の出生後に、父又は母が永住者の在留資格を失った場合も、「永住者」の在留資格をもって在留する者の子として出生したという事実には影響がありません。
※「子として本邦で出生した者」とは実子をいい、嫡出子のほか、認知された非嫡出子も含まれますが、養子は含まれません。
※「日本人の配偶者等」の場合と異なり、「本邦で出生したこと」が必要です。
永住者の在留資格をもって在留する者の子であっても、母が再入国許可を受けて出国し外国で出産した場合など、外国で出生した場合は該当しません。
(3)特別永住者の子として本邦で出生し、出生後引き続き本邦に在留する者
※特別永住者の子の場合、通常は出生後に申請を行うことにより特別永住者として在留することになりますが、出生後60日以上を経過してしまうとこの申請を行うことができなくなります。
その場合は、「永住者の配偶者等」の在留資格が与えられます。なお、「永住者の配偶者等」を与えられた後で、「特別永住者」の申請を行うことは可能です。
審査のポイント
1 永住者等の配偶者の身分を有する者
「永住者等の配偶者」の場合は、偽装結婚ではないかどうかを入念にチェックされます。
夫婦の年齢が離れている場合や、外国人との結婚・離婚を繰り返し行っている人の場合は、特に厳しくチェックされます。
法律上で結婚が成立していて、住民票上は同居していることになっている場合でも、上述した「社会通念上の夫婦の共同生活を営」んでいるかどうかを、電話や実地調査などで入管から確認される場合もあります。
2 永住者等の子として出生した者の身分を有する者
懐妊時期に両親が同一地域に滞在していたかどうかの確認が行われる場合があります。
「短期滞在」から「永住者の配偶者等」への在留資格変更許可申請
「短期滞在」から他の在留資格への変更については、「やむを得ない特別な事情」があることが必要です(入管法20条3項但書)。
「永住者の配偶者等」への在留資格変更許可申請における「やむを得ない特別な事情」がある場合とは、次のような場合をいいます。
1 婚姻等の身分関係の成立・存在があり、信ぴょう性が認められる場合。
2 「短期滞在」での在留中に在留資格認定証明書が交付された場合。
「経費支弁能力」について
「経費支弁能力」とは、日本で生活する上でかかる費用を支払うことができる能力のことです。この「経費支弁能力」も、審査の対象となります。
つまり、①給与などの収入、②預貯金・不動産などの資産などにより、配偶者や子どもと一緒に生活ができるかどうかが審査されます。
日本人の方の雇用契約書や預金通帳のコピー、身元保証人による生活費用負担の誓約書などで、証明することになります。
具体的にいくら以上の収入や資産があればOKかということは公表されていませんが、同居人一人あたり年間80万円~100万円程度の費用がかかると計算し、それ以上の収入や資産があると、審査に通る可能性は高くなります。
別居している場合について
配偶者の場合は、上述したように、原則として同居して生活していることが必要となります。
しかし、別居経緯、別居期間、別居中の両者の関係、相互の行き来の有無、生活費の支給等の協力・扶助の関係の有無等に関して説明した資料を提出し、合理性があると判断された場合は、「永住者の配偶者等」の在留資格を与えられることもあります。
離婚調停又は訴訟中の場合
婚姻関係が実質的に破綻している場合は、法律上で婚姻関係が継続していても、「永住者の配偶者等」の在留資格には該当しません。
しかし、夫婦関係調整の調停を提起していたり、配偶者が提起した離婚訴訟に応訴し訴訟提起から1年を経過していない場合など、婚姻関係の修復に向けた努力を続けていると認められる場合は、「永住者の配偶者等」の在留資格を与えられることもあります。
以上、「永住者の配偶者等」について説明しました。
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