2019年12月18日
本日も在留資格「経営・管理」について説明させていただきます。
ウ 直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合
企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは、通常の企業活動を行っているものとは認められず、仮に営業外損益、特別損益により利益を確保したとしても、それが本来の業務から生じているものではない。単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されるが、二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められない。したがって、この場合には事業の継続性があるとは認められない。ただし、増資、他の企業による救済等の具体的な予定がある場合には、その状況も踏まえて事業の継続性を判断する。
(注)主な用語の説明
直近期:直近の決算が確定している期(直近の決算は「損益計算書」を見る。)
売上総利益(損失):純売上高から売上原価を控除した金額(「損益計算書を見る。)
剰余金:法定準備金を含むすべての資本剰余金及び利益剰余金(「貸借対照表」を見る。)
欠損金:期末未処理損失、繰越損失(「賃借対照表」を見る。)
債務超過:負債(債務)が資産(財産)を上回った状態(「貸借対照表」上の「負債の部」の合計が同表の「資産の部」の合計を上回った状態のこと。)
4 在留期間「4月」の新設について
平成24年7月に入管法が改正され、また、外国人登録法が廃止されて、現行の在留管理制度が導入される前は、我が国で株式会社等を設立し「投資・経営」の在留資格を得ようとする者は、「短期滞在(90日)」の在留資格で上陸し、その間に、外国人登録を行い、その住居地をもって会社設立の登記をし、「投資・経営」に係る手続を行っていたところ、現行の在留管理制度が導入され、中長期在住者でなければ在留カードが交付されず住民票も作成されないため、「短期滞在」の在留資格で在配する者は居住地を証する証明書を持つことができず、法人を設立するための準備行為を行うことが困難となった。
これに対して、平成26年6月に閣議決定された規制改革実施計画において、株式会社等を設立する準備を行う意思があることや株式会社等の設立がほぼ確実に見込まれることが提出書類から確認できた外国人については、登記事項証明書の提出がなくとも入国を認めることについて検討し、結論を得ることとされた。
このことを踏まえ、入管法施行規則別表第3の「経営・管理」の項の下欄第1号ロにおいて、「当該事業を法人において行う場合には、当該法人の登記事項証明書の写し(法人の登記が完了していないときは、定款その他当該法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写し)」として、株式会社等を設立する場合に登記事項証明書の提出は不要としつつ、そのような場合には、法人が設立されていない不安定な状態で長期の滞在を認めることは適当ではないことから、中長期在留者となり住民票が作成される最短の月単位の期間である「4月」の在留期間を決定することとなったものである。
以上、在留資格「経営・管理」についての説明をさせていただきました。
長かった在留資格「経営・管理」についての説明も、残すところあと1回となりました。
次回もぜひご覧いただければと思います。
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